焼成会

専修部による企画です。概要は「どの様な活動を…?」をご覧ください。




平成29年度「専修部秋期焼成会」を終えて

近年、毎年テーマを決めて焼成会を行ってきましたが、今年は「型おこしによる織部製作」になりました。型が少ないと一同に製作できないと事前に(3月)部員にて石膏型を製作し準備しての焼成会となりました。
織部の独特な形状、絵柄をこの機会に勉強し「オリベイズム」を体験できたらと思います。

《日程と主な内容》

○8月27日(日)織部製作
9:00よりそれぞれが思い思いの型を使い談笑しながら製作に取り掛かる。事前に型は用意できていたので、待つ人はなく、その後無心に・・。

○9月3日(日)作品受付
○9月10日(日)釉掛け
・織部の独特な絵柄図(本橋さん提供)を参考に鬼板と弁柄の2種類で絵を書き織部用透明釉と織部釉との掛け分け。
・絵具の濃度、掛け分けが意外と難しい。

○9月17日(日)引渡し、懇親会
・完成作品を見ながら製作の反省やら工夫をしばし歓談。これが一番勉強になり楽しい時間でもある。
・その後出き上がった器に持ち寄った料理を盛り付け、懇親会では話はつきない。



織部焼は、千利休の弟子であった武将茶人・古田織部によって始められたと言われています。その特徴は斬新さにあり、あえて歪な形状を施し、市松模様や幾何学模様といった大胆な文様を施す趣向は、それまでの整然とした茶器とは大きく異なり日本特有の文化であるといわれていることは皆様よくご存じだと思います。そんな織部の一端を垣間見れた 焼成会になったと思います。
お疲れ様でした。(井上 明)






平成28年度『専修部焼成会 粉引 終わる』

 恒例の焼成会、今年のテーマは「御本手粉引」です。日ごろ粉引に挑戦してみたいと思っても素地土や化粧土さらに焼成方法などクリアーしなくてはならない課題があり敷居が高いのが実情です。そんなこともあってか参加者は、昨年よりも7人多い19人でした。粉引への魅力や関心の強さが感じられました。
 特に今回は専修部長の井上さんの工房(ガス窯、作業場等)を利用させていただくことになりました。また、例年焼成会は9〜10月に実施してきましたが、この時期は都合により窯が使えなくなるため今年は5月になりました。

日程と主な内容

5月8日(日)
作品受付と化粧土の生掛け(午前10時と午後1時の2回に分散)
〇 参加者  19人
〇 作品点数 90点
〇 粘土重量  27.25kg
この日は参加者の多くが、井上さんご用達の赤土を分けてもらって制作した生乾きの作品を持ち込み、それに各々が化粧土(これも井上さんのブレンド)を掛けました。生掛けのため、乾燥させすぎたために折角の器が形崩れしてしまったものや、揃いの方形皿6点とも縁や角に亀裂が生じてしまったものなどがありました。皿の方は後日、井上さんが濡れタオルに包んで成形しなおし生掛けした結果、見事な粉引皿に変身しました。

5月22日(日) 釉掛け(同じく午前、午後に分散)
この日は、この間に素焼きしていただいた作品の表面をペーパーやすりで調整してから各自で透明釉を掛けしました。

6月19日(日) 作品引き渡し(午前11時全員)と会食会 待ち望んだ作品との対面日。
どの作品にも見事に淡紅色の斑点や、中には器の内側にリング状の紅色が表れており、どなたも自分の作品を手にしながら満足そうな笑みに包まれていました。
至福の瞬間です。その様子を見ながら井上さんもニコニコ顔、同時に無事責任が果せたという安堵感でホッとしていたのではないでしょうか。



 この後、全員で工房近くのファミレスで昼食会。食べながら飲みながら、出来上がった作品の中で気に入ったものを見せながら一人ひとりが思いを語りました。また、井上さんから今回の「御本手」に纏わる苦労話も話してくれました。一口に御本手といっても、その表れ方は本焼きでの焼成タイミングによって、「紅斑(こうはん)」と「半使(はんす)」の2種類に分かれ、前者は主に薄紅色で輪郭がぼやけた大き目の斑点に対し、後者は色が濃く小さ目の斑点が集まっているのが特徴だそうです。
 今回は、その中の紅斑を狙って950度から1180度まで還元焼成し、そのあと酸化に切り替えたということでした。
 ご自分で挑戦なさりたい方は、ぜひ井上さんに詳しく聞いてみてください。

 いずれにしても、今回の「御本手粉引」の成功には研究熱心な、しかも参加者の知らないところであれこれと配慮していただいた井上さんのおかげであり、全員が心から感謝の拍手を送りました。本当にお疲れ様でした。(専修部 田村)






平成27年度 秋期焼成会報告

 昨年に引き続き木の葉天目にスポットを当て、第2回目の焼成になりました。
 昨年の反省と経験をもとに、今回は天目焼成済作品に木の葉を乗せるという昨年と違う手法を採用し事前に数回試し焼きをしてからの挑戦となりました。


日程
9/6日(日)10:00〜 作品受付
17日(木)9:00〜  素焼窯入
18日(金)17:00〜  素焼窯出・・・アクシデント発生(何故か素焼できていない)
20日(日)9:00〜  自宅にて素焼きされ当日持ち込まれた作品のみ釉掛け
21日(月)9:00〜  再度素焼窯入
22日(火)17:00〜  素焼窯出
23日(水)9:00〜  釉掛け→窯詰→点火
25日(金)17:00〜  窯出
27日(日)10:00〜  引渡し後、懇親会


 上記のように18日の素焼窯出時に素焼きが出来ていないというアクシデントが発生(過去にも一度有ったが、その時は停電が原因だった。今回は?)。
 その為21日急きょ再素焼をし、その後の日程にどうにか合わせることが出来ました。参加者及び部員の皆様のご協力に感謝いたします。

  作品受付時


  窯詰



 27日の引渡し日には、木の葉が出ているか、それぞれが不安な様子で教室に入ってこられ作品の出来栄えというより、まず木の葉が出ているかに話が集中したように思います。その後暫し陶芸談義で盛り上がり、それがまた明日への活力になるのではないでしょうか。最近土とご無沙汰しているという方は居ませんか、駄目ですよ。是非一度ご参加下さい。(昔、高村会長時代に、「仕事ばかりして……作陶しなくちゃ駄目だよ」と言われたことが思い出されます。)

  引渡し



結果

@参加状況
 参加者 12名
 作品点数 104点
 作品重量 29.53s

A木の葉天目について
 焼成済み作品に木の葉を乗せたものが高い確率で転写された。(写真@参照)
 木の葉に金液、弁柄、下絵具、ケイ酸ソーダ等試みた。(写真A参照)

B他の釉薬作品について
 年に一度の焼成のためか、水分が蒸発し濃度管理が難しく今後の管理方法を再検討する必要あり。

  写真@
  

  写真A 金液


  写真A 下絵具



 恒例の参加者一品持ち寄りでの懇親会でまたまた大いに盛り上がりました。いつもながら広報の小松さんより今旬の栗ごはんと秋刀魚の差し入れを頂き感謝。


来期に向けて

 6年程前から専修部で粉引に力を入れています。(平成21年益子にて白化粧研修)
 今まで酸化で焼成してきたが、今回還元で焼成したものと比較し、更なる化粧土の配合、焼成法等検討し、来年度は「粉引」をメインテーマにする予定です。(専修部 井上明)

  還元にて粉引焼成
 





平成26年度 「木の葉天目」にチャレンジ 秋期焼成会、盛会裏に終わる!

 恒例となった秋の焼成会。今年の目標は、木の葉天目。

 9月7日の作品受付には、15名、118点の素焼き作品(平ワン、ソバチョコ、皿、深鉢など)が持ち込まれました。
 木の葉天目は初めてという方が多く、さっそく下村、本橋両氏提供の黒天目釉を掛け、器の大きさに合った椋の葉を裏側を上にして入れ、素焼きの押さえを載せてこの日の作業が終わりました。(後日750度で素焼き)

 9月21日の釉薬掛けには、9名が参加、34点の素焼き作品が持ち込まれました。各自の好みに合わせて、織部、黄瀬戸、白萩などを施釉、また呉須やベンガラなどで絵付けする方もいました。

 9月28日、待望の作品引渡には15名が参加、自分のものや人の出来具合にしばし会話が盛り上がりました。今回は「これぞ木の葉天目!』という作品は出現しませんでしたが、自分の作品の中に、薄ら、べったり、時には一部分など矯めつ眇めつ葉の姿を求めて「ほら、傾けると見えるわ」「どれどれ何処に」、揚句は、押さえの素焼きの方に葉の形がはっきり写っているものなど話題は尽きません。この後、出来上がった作品に、持ち寄った料理を盛り付け、アルコールで一段と盛り上がりました。
今回の焼成では、素焼き温度、釉薬の濃度、椋の葉の状態など更に調査検討すべき点も見つかり、次回も再挑戦したいという声がたくさんありました。みなさんお疲れさまでした。

参加者数3日間    延39名
作品数        152点
粘土量        32.5kg
この他、窯の出入れ等5日間に延16名の専修部員が出ました。

*会報(2014年11月15日160号)に参加者の感想が寄稿されています。ぜひ合わせてお読みください。